こんにちわ、楓です。
皆さんバーナーってどんなものを使ってますか?今や様々なメーカーから様々な製品が出ていますね。
今回はキャンプで使うガス機器の話になります。
いつになく硬めの記事になりますが、大事なことになりますので是非最後までご覧いただければと思います。
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「安さ」で安心を代償にしていませんか?
キャンプにおける火器、特にガス機器は利便性や手軽さから多くのキャンパーに愛用されています。炎を操る時間というのはキャンプの醍醐味であり、非日常を彩る最高の瞬間です。しかしこの道具選びは単なる機能や価格の比較を超え、自分自身の安全、財産、そして命に関わる最も重要な選択となると僕は思います。
近年インターネット通販の普及により、極端に安価なノーブランドの海外製ガス機器が市場に出回るようになりました。価格の魅力は計り知れませんが、同時に「本当に安全なのだろうか?」「すぐに壊れてしまわないか?」といった漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では公的機関が公開している事故データと、2025年に強化された国の最新法規制に基づき、「失敗しない、そして命を守るためのガス機器の選び方」を提案していこうと思います。
信頼できないガス機器が招く「キャンプ場での5大事故リスク」
公的データが示す事実:事故原因の7割は製品側の問題
ガス機器の事故は、使用者の不注意や誤った使い方に起因するものが多いと思われがちですが、公的機関のデータは異なる事実を指し示しています。製品評価技術基盤機構(NITE)が2019年度から2023年度の5年間に受け付けたガストーチの事故は、合計129件に上ります。
このうち、事故原因が判明しているケースに絞り込むと、驚くべきことに7割が「製品そのものに問題があった」ことが判明しています。これは、使用するキャンパー自身がどれほど注意を払っていても、製品の設計や構造が粗悪であるために事故が避けられない、という深刻な現実を意味します。特にインターネットを介して購入された海外製のガスバーナーで事故が多発していることがNITEによって強く警告されています。
粗悪な海外製品は、日本の厳しい安全基準をクリアせずに流通している可能性が高く、その構造的な欠陥が重大な事故を引き起こすリスクとなります。この危険性はガストーチに留まらず、ガスバーナーやガスランタンといったすべてのキャンプ用ガス機器に共通する問題です。
参考
NITEの実験映像から見る5つのリスク
1. 接続部のガス漏れと引火(火傷リスク)
粗悪なバルブやOリングを使用している製品では、カセットボンベを機器に接続する際の密閉性が不十分となり、ガス漏れが発生します。点火時にこの漏れたガスに引火すると、炎が通常とは異なる方向、すなわち持ち手の方向に勢いよく噴き上がり、使用者が手をひどくやけどする危険があります。これは製品の設計上の欠陥であり使用者が気づくのが極めて難しい危険です。
2. 異常な液化燃料の噴出と大規模火災(火災リスク)
本来、ガス機器は液体の燃料を気化させて使用しますが、設計不良の製品では、不適切な傾きや使用状況下で、気化されず液体の燃料がそのまま噴き出してしまいます。この状態で点火すると、燃料が一気に燃焼し、異常燃焼による巨大な炎が発生します。NITEの実験によると、この異常燃焼による炎は、バケツの水につけても簡単には消えず、火事につながる恐れがあることが指摘されています。
3. 不完全燃焼による一酸化炭素(CO)中毒
燃焼効率が悪い、あるいはノズル部分が目詰まりしやすい構造の粗悪品は、不完全燃焼を引き起こします。不完全燃焼によって発生する一酸化炭素(CO)は無色無臭であり、極めて危険です。特に気密性の高いテント内や車内(本来ガス機器の使用は厳禁ですが…)でわずかに使用するだけでも、致命的な中毒事故を引き起こす可能性があります。ノズルやバーナーの清掃不足も原因となりますが、製品自体の基本的な燃焼性能の低さがリスクを高めます。
4. 不適合ボンベによる過熱・破裂
製品の規格に適合しないボンベを使用したり、品質の低い接続部品を使用したりした場合、ボンベの過熱や接続不良が発生し、最悪の場合ボンベが破裂する危険があります。また大型の調理器具を使用して熱がこもるような使い方をすると、ボンベが過熱し破裂するリスクが高まります。
5. 劣悪な耐久性による予期せぬ故障
信頼できるメーカーの製品が耐久性の高い金属(例:ユニフレームのアルミボディ)を使用するのに対し、安価な海外製品はコスト削減のために熱に弱いプラスチックや安価な金属を使用しがちです。これにより炎の熱や長期的な使用により部品が劣化・破損しやすく、短期間で予期せぬ事故を引き起こすリスクがあります。
参考

PSLPGマークの義務化とメーカー信頼性の判断基準
PSLPGマークとは何か ~信頼性の証~
安全性の低い製品が流通するリスクを背景に、日本国内では法規制が強化されました。2025年3月6日から「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」(液石法)の法令改正に基づき、国の安全基準を満たしたガス機器には「PSLPGマーク」の表示が義務づけられています。
このマークは、その製品が日本の厳しい技術基準に適合していることを第三者機関によって証明された「信頼の証」です。NITEも、ガスバーナーを購入する際には、このマークが付いているかを必ず確認するよう消費者に強く呼びかけています。
この法規制の強化は単なるルール変更以上の意味を持っています。それは品質管理や検査体制に投資しない海外の粗悪なメーカーを、合法的な市場から排除するための強力な障壁となるからです。消費者がこのマークの有無をチェックすることは自衛手段であると同時に、日本の安全基準を遵守したメーカーの製品を選ぶための最もシンプルで確実な目安となるのです。
信頼できるブランドを選ぶということ
長年にわたりキャンパーに支持されてきた国内ブランド、SOTO、ユニフレーム、そして実績豊富な海外ブランドであるコールマンなどは、製品設計の段階から、日本の厳しい保安基準をクリアするために多大な品質投資を行っています。
例えば、国内大手メーカーである岩谷産業(イワタニ)は、この法改正に伴い、国の技術基準に適合した「◇PSLPGマーク」を表示したガストーチ新機種を速やかに市場投入しました。これは、信頼できるメーカーがいかに法令遵守と安全性確保に真摯に取り組んでいるかの明確な証拠です。
信頼できるブランドを選ぶ最大のメリットは、製品そのものの信頼性だけでなく、万が一不具合が発生した場合のアフターサポート体制にあります。ノーブランドの海外製品では、故障した際に修理や問い合わせ先すら不明瞭なことが少なくありませんが、国内正規品であれば長期的なメンテナンスや部品供給が保証されることは、皆さんご存じだと思います。この「安心」への投資こそが、キャンプと長く付き合うための担保となるのです。
参考
キャンプ用ガス機器おすすめ
SOTO ST-310
SOTO ST-310は、「全キャンパー買え」とまで言われるほど、ソロキャンプや燃料コストを重視するキャンパーにとっての定番製品です。その最大の魅力は、ホームセンターやコンビニで手軽に入手できるCB缶(カセットボンベ)を燃料とすることで、OD缶に比べてランニングコストを大幅に抑えられる点にあります。
約350gと軽量コンパクトながら、発熱量は2.9kW(2,500kcal/h)と十分な火力を誇り、朝のコーヒーやサッとできる調理に最適です。さらに、ST-310の大きな特徴として、独自のマイクロレギュレーター機能により、低温下でも火力を安定させる高い性能を持っています。この信頼性の高さがあらゆる環境での調理を可能にし、キャンプの楽しみを広げてくれます。
ユニフレーム フォールディングガスランタン UL-X クリア
サイト全体を明るく照らすメインランタンは、夜間の安全確保のためにも最も信頼性の高い製品を選ぶべきです。ユニフレームのUL-Xは、最大240W相当の照度を実現し、広大なサイトでも十分な明るさを提供します。
燃料はST-310と同じくCB缶に対応しており、他のCB缶製品と燃料を統一できるため管理が容易です。高照度ながら燃焼時間は約4〜5時間と低燃費を実現しています。
特筆すべきは、そのタフネスです。ボディはアルミ製で耐久性に優れており、光を放つガラス部分は本体に収納できるフォールディング設計を採用しています。これにより持ち運びや撤収時にガラスが破損するリスクが大幅に軽減され、安心して使用し続けることができます。
コールマン ルミエールランタン
実用的なUL-Xに対し、キャンプの夜を「癒やし」の空間に変えるのが、コールマンのルミエールランタンです。キャンドルを思わせる優しい灯りが特徴であり、多くのキャンパーを惹きつけてきました。
このランタンはキャンプシーンだけでなく、自宅での晩酌やテラスでのリラックスタイムなど、日常生活の中にもアウトドアの雰囲気を取り入れることができるライフスタイルアイテムとしても魅力的です。
ルミエールランタンはOD缶(230g)を使用した場合、約28〜38時間と非常に長時間燃焼し続けるため、燃料のこまめな付け替えを避けたいキャンパーに最適です。実用性だけでなく心身を癒やしてくれる「雰囲気」という価値に対して投資することも、キャンプ体験の満足度を高める重要な要素となります。
安心に使い続けるためのガス機器運用ガイド
誤使用によるボンベ破裂を防ぐ3つの鉄則
1:過熱の厳禁:大きな調理器具の使用を避ける カセットこんろやバーナーの五徳を大きく覆うような調理器具(例:大きな鉄板や鍋)を使用しないでください。調理器具がボンベ部分に熱をこもらせ、カセットボンベが過熱し爆発に繋がるおそれがあります。
2:並列使用の禁止 カセットこんろやガスバーナーを2台以上並べて使用すると、隣接する機器の熱がボンベに伝わり、過熱・爆発のリスクを高めます。
3:調理以外の用途に使用しない カセットボンベを使用する機器(カセットコンロ等)を、木炭や練炭の火おこしなど、調理以外の用途に使用することは厳禁です。これらもボンベが異常に過熱する原因となります。
不完全燃焼と一酸化炭素中毒を避けるメンテナンス
1:換気の徹底: 室内(テントや車内)でガス機器を使用することは大変危険であり、絶対に避けるべきです。もし換気の不十分な場所でやむを得ず使用する場合は、換気扇を回したり窓を開けたりし、常に新鮮な空気を取り込むよう努めたうえ一酸化炭素チェッカー等を併用し安全に勤めてください。
2:ノズル・バーナーの清掃: ガスコンロの目詰まりは、空気とガスの適切な混合を妨げ、不完全燃焼の原因となります。定期的に機器ブラシなどで清掃し、酸素の供給を妨げないようにすることが重要です。
3:経年劣化の確認: カセットこんろやカセットボンベは、使用しなくても経年劣化します。古くなったボンベや機器は、安全のために地域の取り決めに従って適切に廃棄しましょう。
最後に
安価なガス機器は確かに初期費用を抑えることができます。しかしここで紹介した公的機関のデータが示すように、その「安さ」は製品の信頼性、そして何よりも安全性を犠牲にした結果であることが明らかになっています。
ガス機器の事故の7割が製品の構造的欠陥に起因するという事実は、一時的なコスト削減が長期的な安心、財産、そして命を危険に晒すことを証明していると思います。信頼できるメーカーの製品を選ぶということは単に高性能な道具を選ぶだけでなく、家族や仲間とのキャンプの時間を守るための「最高に高価な安全保険」を購入することに等しいのです。
今すぐチェックすべきこと
法規制が強化された今、ガス機器選びはこれまで以上に明確になりました。購入する製品に「◇PSLPGマーク」が付いているかを確認すること、これが2025年3月6日以降の必須事項です。マークのない、あるいは素性の知れない安価な製品はその安さの裏に重大なリスクが潜むと思いましょう。
ここでで紹介したSOTO、ユニフレーム、コールマンといったブランドの製品は、厳しい日本の安全基準をクリアし、長年のキャンパーに愛されてきた実績があります。これらの製品を選ぶことが、あなたとあなたの家族が心から安全で快適なキャンプを楽しむための、最初にして最も重要な一歩です。
安全で快適なキャンプライフを実現するために、この記事を通じて得た知識をぜひ活用し、自身のギアを今一度見直してみましょう。
それでは。



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