こんにちわ、楓です。
キャンプにおいて欠かせないギアの一つがペグ。しかしてそのペグの事、正しく理解していますか?
お店でテントを買ったときに店員にペグの同時購入を勧められ、ペグなんてテント付属のもので良いじゃん、とか思っいる方は多いと思います。でも店員が勧めるのもちゃんとした理由があるのです。
地面のコンディションや建てるテントによっては、正しいペグを使ってないと最悪テントの倒壊や風で飛ばされることもあり得ます。それを防ぐ第一歩としてペグの購入を勧められているのです。
ペグに関して理解を深めれば、あなたのキャンプ力(っていうの?)が増すこと間違いなしです。今回はペグの素材やその特性、地面のコンデションに応じたペグの選び方、そして固定力を最大に生かす技術までを解説していきます。
是非最後までご覧ください。
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テントを買うときにペグも買うべき理由
事実1:多くの付属ペグは強度不足
テントに付属するペグの多くは軽量化やコストの理由から、アルミ製や細いピンペグ形状であることが殆どです。これらのペグでは、多くのキャンパーによって踏み固められ石が混じるキャンプ場の地面には太刀打ち出来ません。
・破損のリスク:アルミ製のペグは地面の硬さに対して強度が不足している場合があり、無理やり打ち込むと曲がったり折れたりすることがあります。
・設営効率の低下:曲がる、折れる、曲がるが頻発すればその分ペグの打ち直さなければならないので、設営に余計な時間がかかってしまいます。 ・解決策: 石が多いサイトや非常に硬い地面で設営するなら、金属を叩いて作られ、曲がる心配がない鍛造ペグなどの高強度なペグを選ぶ必要があります。

事実2:多様な地面に対応できない
キャンプ場の地面は「芝生」「土」「砂利」「砂浜」等、場所の違いや、雨上がりのぬかるみ等によってコンデションが大きく異なります。それぞれのコンディションに合わせたペグを使用しないと適切な固定力を得られないため、テントの崩壊などに繋がります。
・汎用性の限界: 付属のペグは標準的な土や芝生での使用を想定したものが多いため、特定の難易度の高い地面で固定力を発揮できません。
・固定力不足: 短く細いペグでは、特にやわらかい土や砂地において、テントやタープが風の抵抗を受けた際に、地面から抜けてしまう恐れがあります。 ・解決策: 芝生にはピンペグ、石が多いサイトには鍛造ペグ、やわらかい土にはU字・X字ペグ、砂地にはプラスチックペグといったように、地面に合わせた形状と素材のペグを使い分ける必要があります。
事実3:安全性の確保
ペグが地面から抜けるという事態は、先にも述べた通りテントの崩壊につながるのですが、それに付随する形で大きな安全上のリスクが起きることにもなります。
・事故のリスク: 強風で固定を失ったテントやタープが飛ばされてしまうと、そのペグが周囲の車や人に衝突し外傷を負わせる危険性があります。 外れたガイロープが風で暴れるだけでも、周囲の人や物に当たってしまう可能性もあります。
・快適性の損失: しっかりとペグダウンできていないと、夜中に強風でテントがバタつき、快適な睡眠を妨げられる原因となります(気にならない人ならいいんですけどね(汗
これらの事からもペグの重要性がご理解いただけるかと思います。ペグの買い替えは快適性や安全性に欠かせない、重要な要素であるのです。
素材別のメリット・デメリット
鍛造ペグ(鍛造スチール)
鍛造ペグは、金属を叩いて強度を付けながら生成する加工(鍛造)によって作られています。これにより鍛造ペグは強度が高く、耐久性に優れていることが最大のメリットです。代表的な鍛造ペグに、スノーピークのソリッドステークや村の鍛冶屋のエリッゼステークがあります。
・メリット:強靭な特性から高い貫通力を持っています。故に硬い地面でも易々と刺さり、地中に石があっても貫通、破壊してしまうほどです。
・デメリット:鉄の塊ゆえに重いことが挙げられます。ULキャンパーには不向きです。

チタンペグ
チタンは「軽い」「強い」「錆びない」とペグの理想を詰め込んだような素材で、最近の主流でもあります。軽量と耐久性が両立していることでUL系キャンパーに人気があるペグでもあります。
・メリット:軽量、強靭、防錆と相反する要素が高いレベルで両立しているのが特徴です。
・デメリット:素材自体の特性や加工の難しさから値段が高くなる傾向にあります。

アルミニウム
アルミは軽量で扱いやすいのが特徴です。
・メリット:軽量であることが最大のメリットです。特に砂地用のVペグ等は軽量で薄型の為重ねることでコンパクトに収納が可能です。
・デメリット:先に紹介した鍛造やチタンと比べると強度面で劣り、硬い地面に打ち込んだり、大きな負荷がかかると曲がったり折れたりするリスクがあります。
プラスチック(樹脂)
プラスチック素材製のペグは、軽量で安全性が高いという特徴があります。多くでABS樹脂が使われており、強度もあるので安心して使用できます。
・メリット:砂地や雪上といった非常に柔らかい地面で真価を発揮します。こういった地面でも抜けにくい為、ビーチなどの日よけテントの設営に最適です。また雪中キャンプにて雪上に設営する際にも優秀な性能を発揮します。しかも金属製のペグと比べて抜けやすいというメリットもあります。
・デメリット:当然ですが硬い地面には不向きです。また強靭性を確保するために大きく嵩張る傾向にあります。
| 素材 | 特徴(メリット) | 欠点(デメリット) | 適した地面 |
| チタン | 軽量、高強度、錆びにくい | 価格が高い | 硬い地面、全般 |
| 鍛造(スチール) | 強度が高い、石に強い、耐久性に優れる | 重量がある | 非常に硬い地面、砂利 |
| アルミニウム | 軽量、扱いやすい、コンパクト収納(形状により) | 強度が低い場合があり、曲がりやすい | 芝生、やわらかい土、砂地 |
| プラスチック/樹脂 | 軽量、安全性が高い、砂・雪で保持力を発揮する | 硬い地面では強度不足 | 砂地、雪上、非常に柔らかい土 |
地面別の最適なペグは?
硬い地面
地中に石が多い地面や、踏み固められて硬くなった土のサイトでは、ペグの曲がりや折れを防ぐため強度が最も重要です。鍛造ペグやステンレス鋼製のペグが、強度も高く耐久性に優れているので向いています。また素材の強靭性に加えて形状も重要で、抵抗の多いV字型のペグよりはシンプルなピンペグや、断面がX字になっているペグなどが良いでしょう。
さほど硬くない土と芝生
芝生が生えているサイトでは、ピンペグが一般的に向いています。芝生の下の土が比較的柔らかい場合は、軽量で扱いやすいアルミニウム製ペグも活用できます。
柔らかい土や砕石が多い河原
柔らかい土壌ではペグの強度はそれほど必要ありませんが、地面に対する「引き抜き抵抗」が高いことが必要です。そのため断面積が広い形状のペグが推奨です。具体的には、V字、X字・Y字型のペグ等が良いでしょう。
特にY字とX字のペグは3本または4本のリブが地面をしっかりとつかむため、土が多いサイトだけでなく、風速が高い河原の砕石地でも引き抜き抵抗が下がりにくいようになっています。これらの形状はペグが地面に接触する表面積を増やすことで抵抗を高め、保持力を維持できるようになっています。
ペグの形状も重要
ペグの素材も重要ですが、その形状も重要になります。ペグの固定力は素材の強度だけでなく、形状が地面に対する「保持力」に大きく影響するからです。特に柔らかい地面ではペグの抜けを防ぐため、摩擦抵抗と土の圧縮力を生む形状のペグを選ぶ必要があります。
保持力を高める形状あれこれ
V字、X字、Y字:ピンペグと比べて表面積が広く、地面との接触面積を広く取れる形状のペグです。これにより柔らかい土質、砂地や積雪等に向いています。一般的にはABS製などのプラペグやアルミペグでよく見る形状ですが、ロゴスのXステンタフネスベースペグのようにX字形状の保持力とピンペグの扱いやすさを両立させたものや、FUTURE FOXのペンギンペグ、キツツキペグの様に素材をスチールにすることで、V字ペグの保持力を向上させたものもあります。
スクリューペグ:名前の通り地面にねじ込んで使用する形状のペグです。ねじ込む過程で土を圧縮しながら絡め取るため、一般的なペグが苦手とする積雪や砂浜といった非常に保持力の低い地面での固定力は、他の形状のペグよりも優れています 。
スクリューペグを検索すると、砂浜の絵と共に紹介されている商品を多く見かけます。それなりにちゃんとした理由があるのです。
薄型形状のアルミペグ :アルミニウム製の薄型形状ペグは、収納時のコンパクトさに優れているだけでなく、薄い形状が打ち込みやすさにも貢献しています 。ただし先に解説した通り柔らかい素材の為、硬い地面には歯が立ちません。
固定力を高めるペグダウンの技術
どれだけ良いペグを揃えたとしても、その性能を最大限生かすペグダウンの技術が伴わなければ、宝の持ち腐れと言うものです。ペグの固定力を最大限発揮させるには、ちゃんとした法則があります。これを理解し実践することが、安全なキャンプへの近道なのです。
60度の法則
ペグを打ち込む角度には、その性能を最大限発揮する為の最適な角度が存在します。その角度とは地面に対して60°とされています(下図参照)。さらに重要なのはペグの方向です。ペグの頭(ヘッド部分)をテントと逆方向に倒して打ち込むのが正解です。この「60°でテントと逆方向に倒す」という打ち込み方は、テントのガイロープにかかる引っ張り力(張力)を、地面との摩擦抵抗と土壌の圧縮力に最も効率よく変換するための最適解です。この角度を無視してまっすぐ打ち込んだ場合、同じ素材、同じ長さのペグであっても、固定力は大きく低下し、強度が足りないという失敗につながる恐れがあります 。
ガイロープ90°の法則
ペグの角度だけでなくガイロープとの角度も重要です。ペグダウンにおいてペグとガイロープが作る角度は90度を保つことも重要です(下図参照)。
ハンマーでペグを打つ際は、ペグに対してまっすぐ打つように注意し、ペグを回転させないようにしましょう。ペグを回転させて打ち込むと、地面とペグの間に隙間ができてしまい、抜けやすくなる原因となります 。

あとがき
さて、ペグ一つをとってもこれだけの要素があるのはお分かりいただけたと思います。また、テント付属のペグが最低限の性能しか有していないことも、なんとなくでもわかっていただけたと思います。
キャンプ地のコンディションに合わせたペグを使用し、適切な方法にてペグダウンしないとペグは性能を発揮せず、テントの倒壊などの事象を引き起こしてしまいます。
まずは手持ちのペグをチェックするところから始めましょう。曲がりはないか?等をチェックし、少しでも曲がっていたら買い替えをお勧めします。
最後におすすめペグを掲載しますので参考にしてください。
定番中の定番、スノピのペグ。通称”ソリステ”まず間違いのないペグです。
スノピのソリステと人気を二分するペグで、通称”エリステ”
海外製の安いチタンペグが出回る中で、頑張っている日本メーカー製のチタンペグ。
断面がX字になった一味違うロゴスのペグ。表面積が増え、保持力UPのスグレモノ
プラやアルミでおなじみのV字ペグがなんと鉄製に。重量と引き換えに高い保持力を獲得したペグ


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